忙しい、というのは明らかに俺の美学には反しているのだが、しかし自分の能力や性格に鑑みると、忙しさをある程度(あるいはかなり)受け入れなければいけない。というのも、短時間でものすごい成果を上げられる能力なんかないし、いろんな物事に足を突っ込んでいるのが面白くなってしまうからだ。そういえばデリダも多忙な人だったみたいだし、まあ、なにか引き継いでしまったものはあるのだなぁと思う。
朝起きてすぐに疲労を感知し、午後は働かない、と決めて、(いつもそうであるようにややはみ出て)2時頃まで作業する。ほとんどの作業を手書きでやり、ネットには極力接続しないようにする。
夕方に予備校のバイトに行く。まあ、要するに働いているわけだが、しかし俺はむしろ遊びに行っている感覚になる。現在進行形とか、不定詞とか、俺にとってはもはや自明になってしまった事柄について話すだけだから、何も難しいことはない。高校生と他愛ない話をしているようなものだ。
生徒たちは新学期の疲れが顔に出ており、そういう時期なのだろうと思った。俺が疲れているのも単に新学期だから、ということも大いにあるのだろう。生徒の一人がいつも明るくて、疲れていても朗らかに過ごすことはできるんだと思わせてくれた。