3/20 水曜日

「いま主権をどう考えるか?」というシンポジウムを聴きに行った。会場は渋谷スクランブル・スクエアの高層階、3辺が巨大な窓で囲まれた長方形の部屋だった。途中で大雨が降ってきたり、かと思えば綺麗な夕日が見えたりして、空模様にはドラマがあった。

シンポジウムでは、4人の先生方がそれぞれ「主権」をめぐって発表をし、最後に議論が交わされた。主権国家の、主権なき企業化、という問題が通奏低音として流れており、国家と巨大企業が同じような機能/振る舞いをしてしまっていることに関して問題が提起された。要するに、人民同士の合意であれ、個人と企業との取引であれ、契約外のところで物事(行政・企業運営)が進んでしまっているというのがマズい、という話だ。中島隆博先生が提案したデリダ批判は、デリダの「神」が契約外のものの範例であるというところにあるのではないかと思う。神を想定しないような人民のあり方があるのではないか、と(たぶん)言っていた。これに対して僕はどう応答すればいいか現時点では分からない。だが、今後の僕の研究が、非常に今日的な問題なのだということは強く感じた。

シンポジウムが終わって窓の外を見上げると、隣のビルではナイト・クラブのライトが綺麗な模様を描いて踊っていた。